いわゆるレイトとアーリーについて1
ご存じの方も多いかと思いますが、ヴァイオリンの世界には「アーリー」「レイト」なる言葉があります。子供の頃からヴァイオリンを始めた方を「アーリー」、大人になってからヴァイオリンを始めた方のことを「レイトスターター」と呼んでいるようですが、「アーリー」が「レイト」を見下す気持ちを含んだ、実にくだらない表現とわたしは思います。
この言葉の背景には「ヴァイオリンは子供の頃から始めないと弾けるようにはならない」という思想があります。これは完全に間違っています。大人から初めてもそれなりに弾けるようになりますし、きちんとした指導があれば半年もあれば充分良い音が出ます。
何回かに分けて「レイト」「アーリー」についてお話しさせて頂こうと思います。
プロのヴァイオリニストになるには、できる限り早い段階からヴァイオリンを始めた方が良いとわたしも思います。パガニーニやイザイ、バルトークと言った難曲を含め、どんな曲でも弾きこなせなければならないのがプロのヴァイオリニストです。オーケストラのヴァイオリニストも、バロックから現代音楽までどんな曲でも短時間で弾きこなさないとなりません。
そのためには、できる限り多くの経験を積んだ方が良いし、プロとして活躍するにはコンクール歴など多くの肩書きがあった方が有利です。そして、極力早く就職した方が本人にとっても雇用側にとっても良いでしょう。だからこそ、若いうちから勉強を始めた方が有利と言えます。
ですが、「プロになるには子供から始めた方が良い」は「弾けるためには子供から始めないとならない」とは異なります。5歳で始めて15歳まで10年間続ければそれなりに弾けるようになりますが、同じように25歳から始めて35歳まで10年間続ければ、やはりそれなりに弾けるようになります。
「レイト」でも弾けるようになります。まず、その点を念押ししておきたいと思います。
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