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ヴァイオリンの資料 弦のレビュー

ヴァイオリンの資料

これらは自分で購入し、多くの場合、弦の寿命が来るまで使用した印象です。レビューの期間が10年以上にわたり、この間に主に使用している楽器がモダン→新作→オールドと変わっていますし、楽器の調整の具合もかなり変わっているので、的確とは言えないかも知れません。

また、多くの方が音量を重視してエヴァ・ピラッツィなどの強い弦を張っている現状を見ると、音色の気品、色づけの少なさを最重視する好みは時代遅れかも知れません。そして、弦をあれこれ試した結果、「音を変えたければ、調整を先にするべき」、「弦は調味料的なもの」という結論に至ってしまいました。

ですが、弦による音の違いを把握する参考にはなると思いますので、よろしければご参考になさってください。

※E線をお求めの際は、ループエンド(弦の一方が輪になっている)とボールエンド(弦の一方が玉になっている)を間違えないよう、お店やネットショップで指定をなさるように、お気をつけ下さい。

E線


ヴァイオリン弦:ゴールドブラカット(0.26mm)

ゴールドブラカット(0.26mm)

素直な色付きの少ない音が出ます。E線らしい、軽く、メタリックな音で、高い音まで細身の美しい音、繊細で、反応の早い弦です。

寿命は長くもなく短くもなく、ひと月程度が交換の目安と思います。

ゲージ(弦の太さ)が0.27mmのものもありますが、大味な音がして、お勧めできません。

価格も安く、コストパフォーマンスに優れた弦です。E線にはこのゴールドブラカット(ゲージ:0.26mm)をお勧めします。

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ゴールドブラカット(0.26mm)



ヴァイオリン弦:カプラン・ゴールデンスパイラル・ソロ

カプラン・ゴールデンスパイラル・ソロ

ざらつきの多い音で、良く言えばメタリックな音です。高音が強めにでるため、より強い高音が必要な方には向くかも知れません。

音色は上品とは言えませんが、華やかさが特徴の弦で好みの方もいらっしゃるとは思います。

寿命は長くもなく短くもなく、ひと月程度が交換の目安でしょう。

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カプラン・ゴールデンスパイラル・ソロ



ヴァイオリン弦:ヒル(ミディアム)

ヒル(ミディアム)

こちらもE線のみですが、ゴールドブラカットよりも、上品なしかも美しい音がします。特に高音が美しく、ゾクゾクするほど美しい音を出せます。もちろん、音に変な色が付くことはありません。

寿命は長くもなく短くもなく、ひと月程度が交換の目安と思います。

ゲージ(弦の太さ)は3種類あるようですが、ミディアムしか使ったことが無いし、それで充分によい音が出ます。

価格は安くありませんが、試してみる価値のある弦です。E線にはお勧めできる弦です。

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ヒル(ミディアム)



ヴァイオリン弦:ピラストロ オリーブ(E線)

ピラストロ オリーブ(E線)

金メッキの弦が特徴的です。金色の弦なので、見た目にもゴージャスですし、正直言ってかっこいいです。

音も非常に派手な音がします。見た目の通り、金色の非常に強い音がするので、好みの分かれるところでしょう。

寿命はE線にしては長めで、劣化はあまり感じません。表面の金メッキは比較的早く剥がれてしまいますが、ほとんど剥がれても充分に使用でき良い音が持続します。

E線にしては高額ですので、単純にお勧めはできませんが、きらびやかな音をお望みでしたら、試してみる価値はあります。

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ピラストロ オリーブ(E線)


A線・D線・G線


ヴァイオリン弦:トマスティック ドミナント

トマスティック ドミナント

音に変な味が付かない弦で、楽器の音を正しく引き出してくれます。多くの演奏家が使用しているのも、この味付けのない特性のためと思います。

レスポンスがよく、弾く際に力は不要です。それでいて楽器をきちんと鳴らしてくれます。弓の圧力にはやや敏感で、圧力が多すぎると雑音が強く出ますが許容範囲です。

寿命は長くもなく短くもなく、2ヶ月程度が交換の目安と思います。

一番のお勧めです。最近価格が上がったものの、今でもコストパフォーマンスでは一番と思います。

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トマスティック ドミナント



ヴァイオリン弦:トマスティック インフェルド赤

トマスティック インフェルド赤

柔らかいマイルドな印象の音ですが、音量が大きいこととチューニングが安定していることは好ましい特性です。

弦の振動が一瞬楽器にしみ通ってから音が出る印象(反応が鈍いと感じる方もいるかもしれません)は好みが分かれるところでしょうが、多くの方にとっては好印象になると思います。

ただ、音に味が付くタイプの弦で、第一印象はよいものの次第に飽きてきます。例えるならば、砂糖を入れたコーヒーのようなもので、口当たりは良いけれども・・・という印象があります。

劣化は分かりにくいですが、交換してみると明らかに音の華やかさが失われていることに気がつきます。もともとマイルドな音だけに、劣化すると極度にマイルドな音になってしまいます。

使用するなら、早めの交換が必要でしょう。そのため、コストパフォーマンスはそれほどよくありません。

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トマスティック インフェルド赤



ヴァイオリン弦:トマスティック インフェルド青

トマスティック インフェルド青

インフェルド赤に対して、ややハードで硬い印象の弦です。音量があること、チューニングが安定しているのは近代的な弦として合格です。

反応が大変に早いため好みは分かれると思います。弾いた弦の振動が即座に音になる感覚は、人によっては安っぽいと感じる方も多いと思います。ですが、逆に楽に弾けるとも言えるので、通好みの弦とも言えます。

ただ、これも音に味が付くタイプの弦で、例えるならば、塩味のような感じです。それをどう感じるかはそれぞれの好みですが、わたしは好きな味ではありません。

劣化は分かりにくいですし、もともと金属っぽい音のする弦なので、比較的長く使っても劣化は目立ちません。

コストパフォーマンスは悪くないと思います。ドミナントより早い反応が必要ならお勧めできます。ですが、根本的な改善のためには、楽器を調整してもらった方がよいと思います。

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トマスティック インフェルド青



ヴァイオリン弦:ピラストロ オリーブ

ピラストロ オリーブ

ガット弦(芯が羊の腸でできている)で、G線は金と銀で巻いてあるというゴージャスな弦です。最高級の弦といって差し支えないでしょう。また、これ以上美しい音の弦はいまだに無いと断言できます。

高いだけでなく、素晴らしく上品な音色が出ます。音に変な味付けはなく、素材の良さが音に出るのでしょうか。

華やかですがけばけばしくないし、上品といっても弱々しい上品さではなく、芯の太い底力のある上品さが特徴です。自動車に例えるならロールスロイスのような感じでしょうか。

寿命は長めで3ヶ月程度です。交換する時まで充分によい音が持続しますが、巻いてある金属(巻線と言います)が次第にほつれてくるのが交換の目安となります。

ガット弦のため湿度の影響を受けやすく、チューニングを頻繁に行う必要があります。また、湿度が下がると収縮して張りが強くなり切れることがあります。その点では近代的ではありませんし不便です。

ですが、あれこれ新しい弦を試すよりは、まず最初にこれを試してみてください。高額ですが一番良いものを知るだけでも、価値はあるはずです。

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ピラストロ オリーブ



ヴァイオリン弦:ピラストロ オイドクサ

ピラストロ オイドクサ

ガット弦(芯が羊の腸でできている)です。力強い音とは言えませんが、実に上品な音色で、ガット弦の良さを堪能できる弦です。

音に変な味付けはありません。柔らかい音と言われることが多いのですが、決して柔らかい印象ではなく、プレーンな上品な音です。

ガット弦に共通する美点ですが、軽く弾くことができます。最近のナイロン弦でも反応が早いものがありますが、不自然な反応の早さではなく、自然な印象です。

寿命は長めで3ヶ月程度です。オリーブと同じく、交換する時まで充分によい音が持続しますが、次第に巻いてある金属がほつれてくるのが交換の目安となります。

また、オリーブと同じく、ガット弦のため湿度の影響を受けやすく、頻繁にチューニングを行う必要や、切れやすい面があります。その点は、マイナスです。

品を重視する音楽、品のよい演奏を目指すのでしたら、大変にお勧めです。いろんな意味で、最近のハイテク弦の対極にあります。ぜひお試し下さい。

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ピラストロ オイドクサ



ヴァイオリン弦:ピラストロ エヴァ・ピラッツィ

ピラストロ エヴァ・ピラッツィ

最近使用している方が多いのですが、わたしは好きではありません。

音量はありますし、チューニングも安定していますし、反応も敏感です。音量が大きく、華やかな音が出るため、よい弦と感じる方も多いと思います。

ですが、音が大味で品がないと感じます。コンブやカツオブシのダシと、化学調味料の入ったインスタントダシとの違いのような印象を受けます。

また、寿命が並のナイロン弦と同程度で、コストパフォーマンスがよくありません。この値段を出すなら、オリーブの方がずっとよいと思います。

※わたしが試したのは発売直後だったため、今では改善されているかも知れません。

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ピラストロ エヴァ・ピラッツィ



ヴァイオリン弦:ピラストロ オブリガート

ピラストロ オブリガート

こちらも使用されている方が多いのですが、著しく寿命が短かったため、一度しか試していません。

近代的な弦らしく、音量はありますし、チューニングも安定しています。張った直後は大変に好ましい、ガット弦に近い音色が出ました。「これは良い!」と思ったものです。

ですが、2〜3週間程度で実につまらない音になりました。これだけ音色の変化が大きいと使いにくいし、値段が高いため維持するのが困難です。

良い面はあると思います。よい音とチューニングの安定性を両立するという面では良いと思います。ですが、コストパフォーマンスは良いとは思えません。

※わたしが試したのは出始めの頃だったので、改善されているかも知れません。

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ピラストロ オブリガート



ヴァイオリン弦:ピラストロ ヴィオリーノ

ピラストロ ヴィオリーノ

使用している方をあまり見かけませんが、良い弦と思います。

音量がやや小さく、派手な音はあまり出ませんが、品のある音がでます。ナイロン弦のため、チューニングはもちろん安定しています。「狂わないオイドクサ」という印象です。

軽く品よく弾く弦と思います。ソロ向きではないかもしれませんが、室内楽やオーケストラで美しいハーモニーが得られる弦です。寿命は、並のナイロン弦程度で2ヶ月程度です。

自己顕示を卒業した大人向きの弦です。コストパフォーマンスも悪くありません。ぜひ、お試し下さい。

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ピラストロ ヴィオリーノ



ヴァイオリン弦:ピラストロ パッシオーネ(パッショーネ)

ピラストロ パッシオーネ(パッショーネ)

ネットの掲示板で絶賛なさる方もいらっしゃるのですが、わたしは少しも良いとは思いませんでした。こんなものがガット弦の音と思われてしまうことに危惧すら覚えました。

ガット弦にしては音程は安定しているし、湿度の変化による伸縮がほとんど見られない点は、ふれこみ通りで長所と言えます。音もプレーンでガットらしいといえばガットらしい一面はあります。

ですが、ガット弦の乾いた美音は出ないし、ガットにしては反応が鈍く軽いタッチで弾けない。そのくせ、ガット特有の嫌みなきしり音はしっかり出る。さらに、G線の音程感が悪く古くなった弦を張ったときのような感触があり、また、音量も、わたしの楽器では充分ではありませんでした。

とてもじゃないけれども、オリーブやオイドクサのようなガット弦の音とは言えません。

結局、ちょっと音程が安定しているが、高額で音の悪いガット弦という結論でした。使用に耐えず2週間でドミナントに張り替えたため、寿命は不明です。

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ピラストロ パッシオーネ(パッショーネ)



ヴァイオリン弦:ダダリオ ザイエックス

ダダリオ ザイエックス

とにかく音がでかいです。音に品位はあまり感じられませんが、ここまで音が大きいとそれだけでも価値があるかと納得させられてしまいます。

響きが直線的でエレキギターっぽいのが、少し気になりますがヘリコアほど不自然ではありません。また、太めで重い弦ですので、しっかり鳴らす必要があります。その反面、反応は悪くありません。

まさに「バリバリ」という表現がぴったりで、音量が大きく、ディストーション(エレキギターで使用する音を歪ませるための機器です)がかかったような迫力のある音色が印象的です。

ザイエックスに比べれば、エヴァ・ピラッツィなんて大人しく感じます。ソロ向きと言えばソロ向きの弦です。

寿命による劣化は感じませんでした。音程やチューニングは極めて安定していますし、4ヶ月程度で交換するまで音質の劣化はほとんど感じませんでした。ある意味、最高にコストパフォーマンスの良い弦かもしれません。

わたしの好みではありませんでしたが、メリットを感じる方は多いかと思います。軽く上品に弾くタイプの方にはお勧めしませんが、弓のアタックが強く、音量を追求する方にはお勧めできます。

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ダダリオ ザイエックス



ヴァイオリン弦::ダダリオ ヘリコア

ダダリオ ヘリコア

良くない弦とわたしは感じました。ネットの掲示板などでお勧めする方もいらっしゃるのですが、わたしには合いませんでした。

ピラストロ社やトマスティック社の弦に慣れているためもあるかとは思いますが、弦の響きがあまりに直線的(エレキギターの音に似ています)で、音色も安っぽく品がなく感じました。

レスポンスも不自然に軽いし、弓の圧力に対しての許容範囲がきわめて狭いように感じました。また、弦の振動が楽器に伝わらない感触があり、快適ではありませんでした。

スチール弦としては画期的かも知れませんが、わたしにとってはこの弦を使用するメリットを見いだせませんでした。

寿命が来る前(3日で)に交換しましたので、寿命は不明です。

ご購入はこちらからどうぞ
ダダリオ ヘリコア

 

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