その昔、お稽古事の世界では何かと指導者へお礼金を支払う習慣がありました。ヴァイオリンの世界も例外ではありませんでした。最近ではこういったお礼金の習慣はかなり薄らいだようですが、一部の習慣は現在もなお残っていると聞きます。
ヴァイオリンの購入の仲介をしてもらった際のお礼金、音大入試で合格した場合のお礼金、お歳暮・お中元など盆暮れの挨拶が、現在でも残っている風習のようです。
日本人的な美しい風習とも言えるでしょうが、こういったお礼金はやはり不透明なお金と思います。お礼金をもらって喜ぶ指導者もいるかもしれませんが、お金を生徒と指導者の間の潤滑油にするのは、時代遅れに思えます。
お礼金にしても、盆暮れの挨拶にしても、受け取った側は贈った側ほど印象に残らないし、何度も繰り返すことで日常的な出来事になり、誰にもらったかなんて覚えてすらいなくなるものです※。
指導者にとっては、上達する生徒が一番かわいいもので、逆に上達する気配の見られない生徒は、何とかしてやめさせたいと思うものです。お礼金や盆暮れの挨拶のことを気にするくらいなら、上達するための工夫と、指導者に指摘された点は改善する努力を続けること。それを指導者は一番喜ぶし、一番のお礼になります。
指導者とのおつきあいの参考になれば幸いです。
※日常的になると頂いてもむしろ面倒に思うだけになってしまいます。そのくせ、もらえないと不満を言う人もいます。あまりにも身勝手なこととは思いますがそれが現実です。