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ヴァイオリンを弾くときには、左手も右手もかなり軽く弾けるものです。左手の加減は「押さえる」と言うよりも、「指を置く」と言ったら良い程度です。触れるよりはちょっと強いが、押さえる力を意識するほどのものではありません。
ところが、ヴァイオリンによっては押さえるのにひどく力を要したり、全く音程の取れない場合があります。これらはつまるところ整備不良のヴァイオリンです。このようなヴァイオリンでどれだけ練習しても楽に押さえられるようになったり、音程が取れるようになったりはしません。
これらの問題はネックや指板などの不具合のため生じることが多いようです。弦の張力で引っ張られてネックが表板側に傾くこと(「ネック下がり」と言います)がよくある不具合です。
また、駒や魂柱など調整の具合で押さえる力を低減できたり、音程が取りやすくなる場合もあります。良く鳴る状態なら、弾くときの力も音程を合わせる努力もかなり減らせるものなのです。
どうしても音程が取りにくい、押さえるのに力を要する場合は弦楽器専門店で正しい状態になっているか点検を依頼した方が良いかと思います。ネック下がりの修理のようなネック周りの修理は高額(数万円)になることが多いのですが、点検だけならそれほどお金がかからないことも多いし、無料のお店もあります。
不具合を抱えたヴァイオリンで上達しようと練習するのは、例えるならタイヤがゆがんでまっすぐ走らない車で必死にハンドル操作を駆使して直進しようとしているようなものです。効率よく上達したり楽に弾くためには、ヴァイオリンを適切な状態にしておくことを強くお勧めしたいと思います。