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良いヴァイオリンといえばイタリア製の楽器のイメージがあります。名器にはイタリア製のものが多いし、現実的にもイタリア製ヴァイオリンは概して高額で、すなわち、多くの人に求められているものと言えます。
確かに、ストラディヴァリやグァルネリ、アマティなど17世紀〜18世紀のイタリア製ヴァイオリンは評価が高いし、実際に弾いても概ね良い音が出ます。それ自体は、事実として認めて差し支えないと言えます※。
ですが、「イタリアのヴァイオリンはすべて優れている」という認識は判断を誤らせます。現代のイタリア製ヴァイオリンは必ずしも良いものばかりではありません。非常に割高と思える製作家の楽器もあるし、腕が落ちたと思える製作家の楽器もあります。
どんな分野でも同じですが、ヴァイオリンに関しても製作家の国籍や人種による優劣はありません。イタリア人だからといって良いヴァイオリンを製作できるとは限らないのです。中国製だって優れたヴァイオリンもあるし、イタリア製だってつまらないヴァイオリンもあります。
フランスワインの全てがうまいワインとは限らないのと同じです。南アフリカだって、チリワインだって、安くてうまいものはあります。
「イタリア製だから音がよい」といった「だから論」でヴァイオリンを選ぶと、良くないものを高く買うことになりがちです。国籍やラベルなどにとらわれず、素直な気持ちで接して、自分が真に良いと思ったヴァイオリンを探すことをお勧めします。
※オールドイタリーに特徴的に見られる板の薄さは、モダンイタリーとは全く設計思想が違うことをうかがわせます。