音階は速く弾けば良いものではありません。もちろんある程度速いテンポで弾ける必要はあります。ですが、ある程度の速さで弾けるようになったら比較的遅いテンポでの練習も必要です。
うまく音程を取ることができないケースに左手が素早く動き過ぎの場合があります。例えばポジション移動は素早く行うイメージがあるかとも思いますが、むやみに素早く動かすよりも、比較的遅めの〜すなわちコントロールが効く速さ〜でポジション移動を行う方が好ましいことがあります。「素早い動き」「飛びつくように」と考えるよりも、「音楽的な動き」「エレガントな動き」と考えた方が、音程や音色ともに好ましい結果になる場合があります。
左手の動きも音楽のテンポに沿った、その時の音楽に即した速さであるべきです。その練習として、比較的遅めの音階練習を行うことは好ましい結果になると思います。極端なことではなく、でも、多少のポルタメントが入る程度の速さで動かす練習もやっておくべきと考えます。
音階自体のテンポについても、弾きやすいテンポと弾きにくいテンポがあります。ある程度速いテンポの方が弾きやすいもので、中途半端に遅いテンポではとても弾きにくくなる場合もあります。ご自分にとって弾きやすいテンポと弾きにくいテンポを知った上で、その両方で練習すると効果的でしょう※。
極端に速いテンポや遅いテンポでの練習は実用的ではないかと思いますが、ある程度のテンポの幅を持たせることは曲で音階練習を生かす上で有益と言えます。
4回に分けて音階練習のアイディアについて記させて頂きました。練習のご参考にして頂ければ幸いです。
※個人差はあるかと思いますが、例えば、カールフレッシュの1〜5は四分音符=92程度のテンポが弾きやすく、四分音符=72程度がわたしにとっては弾きにくく感じます。