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水曜日と木曜日は東京にてレッスン。7コマ+7コマと多くの方にお越し頂き有難うございました。暖かくなったり寒くなったりですので、どうぞ体調管理にはお気をつけ下さい。花粉も飛んで目がかゆく鼻水が出る季節がやって参りました(T_T)。
水曜木曜の空き時間が多めだったため予定よりもはかどり、金曜日は午前中に確定申告に出かけた。今年も「事業主貸」「事業主借」で混乱し、「銀行の通帳と合わない〜」と叫び、苦悩の末、輝ける提出の時を迎えたのであった(^^;。いつも通り、特に何も言われずにクールに受理された。
その後、吉祥寺のシャコンヌさんへ火曜日に修理に出していたものを受け取りに。
ストローヴァイオリン。レッスンにお越しの方が購入なさりお持ち頂いたもの。非常に珍しい楽器でわたしも博物館では見たことがあったが初めて触った。駒とナットの交換が必要で、また特殊な楽器と言うこともありご本人の代わりに修理に持っていったのだが、シャコンヌさんでも店員さん全員で興味を持って見て頂いた。
ロンドンの電気技師だったストローさん(John Matthias Augustus Stroh)が1900年代初頭に発明した楽器で、アコースティック録音(アンプが無い時代で、直接空気振動から原盤に振動を刻み込む)で充分な録音レベルをかせぐための工夫だったのだろう。
ただ単にヴァイオリンの胴体にラッパの付いたチープな構造のように思えるが、駒の左右の脚からレバーが出ていて、その振動を魂柱みたいな木製の棒が受けて、薄い振動板を振動させて、それを更にラッパが増幅する仕組み。必然に迫られて本気で作られた楽器であることが構造から感じ取れる。
通常のヴァイオリンではエネルギーは胴体全体に分散される一方、この楽器の場合はラッパ方向にエネルギーが集中しラッパの前では音はかなりでっかい。そして独特の金属音がして、当時のアコースティック録音だとこの方が普通のヴァイオリンの音に聞こえたかもしれないと想像できる。見た目のエキセントリックさに比べて、かなり楽器として成り立っている音(^^)。
以前、大阪音大でポシェットやキット(ダンシングマスターとも呼ばれる踊りの先生が使った小型ヴァイオリン)を弾かせて頂いた時は(しかもカルロ・ベルゴンツィ作のもの!)、あまりに音が悪くガッカリしたものだが、ストローヴァイオリンはこんなに使える音とは知らなかった。非常に珍しい経験をさせて頂き有難うございます。
重量がかなりあり1,650g!(普通のヴァイオリンは450g程度)、楽器を支えるのも大変で弾きこなせないのだが、弾きこなすことができたら動画をアップしたいと思います。