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水曜日・木曜日は東京にてレッスン。今週も多くの方にお越し頂き有難うございました。今回は外国からから一時帰国のタイミングでお越し頂いた方もおられ大感謝です。
とある方に、お話させて頂いたこと。
ヴァイオリニストの仕事は、ヴァイオリンを弾くことではなく、ヴァイオリンが歌うように仕向けること。非常に抽象的で何のこっちゃな話になるかもしれない。
認知科学にアフォーダンスという概念がある。わたしもちゃんと理解しているわけではないが、「モノには、特定の行為を生起させる可能性を有している」ということと理解している。彫刻は、人が材料を削るのではなく、材料に埋まった像を掘り出す作業という感じだろうか。夏目漱石の文章にそんなのがあった気がする。
で、ヴァイオリンに備わった音楽を取り出すように、と言ったお話をさせて頂いた。ヴァイオリンに歌えとギコギコと無理強いするのではなく、ヴァイオリンが気持ちよく歌ってくれるようにお膳立てをするということ。
結果はかなり良く、音楽らしくなった。フレーズの不自然さが減少したし、楽器の「歌」を感じる場面もあった。ヴァイオリンに限らず、楽器にはそういう要素があるように思える。楽器が音楽を持っているわけでは無いのだが、特定の条件が揃うと楽器は歌い始める。音楽ってなんだろうな。