ホーム >
土曜日・日曜日はレッスン。寒い中、今回も非常に多くの方にお越し下さり有難うございました。
良い音になったなと思った方が何名かおられ嬉しく感じた。今回、隣の部屋に嫁さんがいたのだけれども、休み時間に「XXさん良い音になったね〜」という話をしていた。ノイズの少ない大きな音が出るようになってきた。
ご本人は分からないかもしれないけれども、長くお越し下さっている方は確かに良い音になっていると感じる。曲がスムーズに弾けるかどうかは別の問題だけれども、最も時間のかかる音色については良い音が出てきて私としては嬉しい限り。
楽器を鳴らす:軽い力で充分な音量で弾く事ができる、は持ち方や姿勢などいろんな事がきちんと出来ていないと出来ない事。不合理な物理的運動をすれば音は汚くなるし、合理的な運動をすれば良い音になる。良い音を出すには、なるべく、人間中心ではなく楽器を中心にして、楽器が理想的な物理的振動をするようにする必要がある。
楽器を適切に鳴らす事ができれば後は様々なでシーンで使いこなせるようにすれば良いだけになる。カイザーなどの練習曲を用いるのも、既に習得した技術の使いこなしを目的に考えている。
「美しい音」は奇をてらった事ではなく当たり前のことを当たり前にする事に過ぎないと考える。どうぞご自分の動きが合理的な動きかどうかを確認しながらなさって頂ければと思う。
金曜日は楽器の勉強をさせて頂きにでかける。今回も様々な楽器を拝見させて頂く。
今回気がついたこと。ストラディヴァリやグァルネリ・デルジェスのCバウツの形は音色に大きく影響するであろうこと。ストラドのうち特に後期はCバウツが四角い形状になる。またデルジェスはCバウツが長い。これらの形状の方が短く円形のCバウツよりも表板を大きく振動させる事ができることに気がついた。
もちろん、横板の強度や表板・裏板の削り方次第だろうけれども、ストラドやデルジェスのコピーも似たような音が出る傾向がある理由の一つだろうなと感じる。良い楽器は魔術的なムードで出来ているのではなく、あらゆる面で合理的に出来ているのものと感じる。当たり前のことをきちんとやっているのが名器。
また、駒の調整を拝見させて頂く。弦を乗せる溝をほんの少し(やすりで数回擦る程度)深くするだけで音がだいぶ変化した。楽器というハードウェアだけでなく、調整というソフトウェアがあってはじめて楽器の音が成り立つものと再認識した。
音質はいろいろな好みが成り立つけれども、少なくとも音量は楽器自体も調整も適切に出来ていないと出てこないもの。音量が大きく、広い会場でもよく響く楽器は、真贋や年代を問わず良い楽器なのだろうなと。