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土曜・日曜は教える方のレッスン。今回も多くの方がお越し下さり感謝です。数えてみたら、延べ人数でまもなく250人になることがわかった(定期的にお越しの方は70名程のようです)。ちょっと驚く。
大人の方ばかりにレッスンを行っているわけだけれども、ヴァイオリンに関しても皆さん様々な才能がある。音量がすごく大きい方、運動神経が良くヴィブラートもスピッカートも比較的スムーズにできる方、和音(3度、6度、オクターブのスケール)が数週間で既に形になっている方、器用にどんどん曲を弾きこなせる方など。
もちろん、欠点もそれぞれで、和音が得意な方も短調や転調する部分の音程が苦手であったり、器用に曲を弾きこなせる方は音の厚みが足りないといった次第。うまくできる部分は放っておいても伸びるので、苦手部分の底上げが話の中心になる。
どなたにも思うのだが、手をかけた分だけ良くなると思う。うるさくしつこくお話することは、やはり出来の良くない部分であるし、特に音色の場合は力加減が重要になるので強くしろ・弱くしろとレッスンごとに反対のことを言うことになってしまう。それでも、だんだん良いところに収まってくる。
教わる側もめげそうになるだろうけれども、教える側も根気のいる仕事ではある(わたしは、同じ事を月に80回〜100回言うことになる)。けれども、同じ事をしつこく言い続けないとできるようにはならないし、同じ事を言えることが教える側の資質と思う。
今回も多くの方に「粘ったような弓の動き」「粘る音」という表現でお話させて頂いた。また、ヴィブラートについても「塗りつけるように」「粘るように」「ダンピングの効いた動きで」といった表現をすることが多い。
ここの部分は正直言ってわかりにくいかとも思う。弓の動かし方に関する一番重要な要素のひとつだけれども、「粘る」以上の表現は今のところ考えつかない。
おそらく「粘る音」ってどんな音?という事なのだと思う。納豆の糸の引き具合や魚のぬめり具合を知らない人に言葉で分かってもらおうとしても極めて困難だと思う。液体でもない、固体でもない、ゲル状の音。
わたし自身は良い楽器を数多く弾くことでその音を知ることができたし、それが最も手っ取り早い方法と思う。展示会などで良い楽器(値段では言いたくないが、1,000万円以上の楽器)を触って欲しいと機会あるごとに言うのは、その「粘る音」がわかりやすいから。
高級な料理の硬くもなく柔らかくもない中庸な感じ、高級車の乱暴でもなくひ弱でもない感じ、高級筆記具の滑るでもなく引っかかるでもない感じ、高級酒の刺激的でも水っぽくもない感じ。どれも近い。そして、どれも強くもなく弱くもない丁度いい加減で成り立っている。
多分、すぐには分からないはず。でも、ヴァイオリンに限らず良いものを知る機会は持つようにしていただきたいと思う。
※5月31日の久我一夫さん(ヴァイオリン製作家)のブログに、音の出し方について書いてありました。全く同意見です。
楽器や弓を生徒に売りつけようとする先生にご用心。
大して価値のない弓を相当な値段で買わせようとする先生の話を直接聞いた(その弓も弾かせて頂いた)。昔から先生が楽器や弓の売買にかかわることは当たり前のように行われていたが、相変わらずこんな悪質な先生がはこびっているのだから驚く。
先生が勧めるからと言って良いものとは限らない(本当に割安で良いものは先生自身が買う。少なくとも自分ならそうする)。妙に強く勧めるのは、楽器店からのリベート(キックバック)目当てだから。
妙に強く勧められたり強要されたり、でも、詳しく聞くと曖昧な回答をされたりした場合などは先生とケンカ別れするつもりで購入しないようにして頂きたい。また、インターネットなどで楽器名などを検索し、妙に割高でないか価格も調べて頂きたい。
クラシック音楽の世界だからと言ってクリーンなわけではない。その点は強く念を押しておきたい。